2001年3月に連載が終了したのを機会に、初めから通して読んでみたくなってまとめたのが、この本になった。10年をすぎたあたりで、1回、やめようかなと思ったこともあったけれど、そのときどきの自分の考え方を、言葉に出して考え、点検することが面白くて、あまり無理もせずに続けていたら、あっという間に時間がすぎた、という感じが強い。でも、書き始めたころ小学生だった二人の娘は、二人とも、まだ扶養家族だけれど、もう家にはいない。12年という時間は、都市に住む、ごく基本的な家族にとって、なるほど、けっこうな長さではある。

あえてことわっておきたいが、子供をめぐって書かれてはいても、これは、子育ての本ではない。子育ての問題は、自分の親に聞く、というのが、基本だと僕は考えている。そういうふうに育てられたので、こうなった自分がいる。自分が親になって、良かったと思えることは、そのままあなたの親がやったようにすればいいのだし、いやだったことは、決して同じにしないで、なぜそれが必要なのかに戻って考え、なんとか自分のやり方をひねり出す工夫をすればいい。それだけのことだ。子どもを育てることは、その人に子どもがいるいないに関わらず、これまで地球上に出現した、ほとんど全部の人間が普通にしてきたことの一つで、時代によってさまざまな条件が違っていたということを考えに入れても、そんなに大変でも難しいことでも、たぶん、ない。普通にしてきたことだから、そこには、人間が、ここに一人で生きているという自覚を持つための、さまざまな知恵や、文化や、何やかにやが、そしてなにより大切な、生きるための励ましも、たくさん見つけられるのだと思う。親をしている人だけでなく、人間をやっている人みんなに、「孤立を恐れず、連帯を信じて」、この本をおくりたい。