平成12年1月29日

 年始年末の休みの間に、本の整理をした。取っておいた本を見直してみたら、小説のような全くのお話の本と、カタログのような本がその大部分を占め、何かの問題を解説、解釈したり、作業や活動のやり方を述べた本を、僕はほとんど持っていなかった。このコラムを書いているためなのだろうか、様々な所から、お話をしてくれませんか、というお願いがくる。で、話の内容を打ち合わせると、たいていは、すぐ使える子どもとの付き合い方、なんていうのが多いんだな。ううむ、こういうのは困るんだよなあ。だいたい僕は、一般的に子どもとつきあうのは、あまりうまくないし、すぐにきく解熱剤のような話も、あまりないんだよなあ。
 病気をなおすもっとも基本的なやり方は、まず、病気にならないようにするための毎日の生活習慣を組み立てなおすことである。解熱剤で熱を下げたって、発熱の原因そのものを退治しないかぎり、熱は再び出る。もしも、僕のやり方が、すぐにきく解熱剤のように見えるのなら、そう見える秘訣は、そこにある問題の解決法を直接考えることではなく、なぜそうなったかを見つけて、その原因を「自分で考えて、変える」ことにある。自分で考えるとき、ほかの人が考えた方法は、あまり役に立たないと思った方がいい。ほかの人は、自分ではなく、人には一人一人異なる都合というものがある。
 僕は、お話の本を読むのが好きだ。お話の本は、たぶん、一人になる練習に最適なのだ。新しい何かに向かうことになったとき、本当にバックアップしてくれるものは、一人でやる自分を肯定してくれるものであって、自分と同じにした方が良いとささやくものでは決して、ない、と、僕は思う。ハウツウ(どうやって)ではなく、ホワイ(なぜ?)。今年も、楽しく生活を組み立てたい。