平成11年7月24日

 歩いたり走ったり、自転車から飛行機までの道具を使うにせよ、移動すること自体が趣味(要するに散歩ですね)の僕は、何種類かの優秀なカッパを持っている。ううむ、そのかわり傘はないんだよなあ。傘さすの嫌いなんだよなあ、僕は。雨が降ると、すべてのものが何かすごく憂鬱そうに見える。確かに、晴れていれば、いろいろなことができるけれど、雨が降っても、それはそれで、なかなか面白い。においが変わるとか、みずみずしい色合いとか、何とか積極的に楽しもうという人もいるけれど、僕は、少し違う。雨が降ると、結局いろいろなことができなくなってたいへんだ、ということが大切で、そして面白いのだと想う。雨が降ると、様々なことが全部ぐちゃぐちゃになる。で、どうするかが問題で、面白いのよ。
 土砂降りの雨の日曜日、北仙台駅まで電車で出て、地下鉄で愛宕橋まで移動し、そこから荒町や東九番丁の横丁巡りをしながら、前にお知らせの来ていた、古い病院をそのまま使った若い友人たちのスタジオをのぞいてみたり(日曜はやっぱり休みだった)。そして、しばらくごぶさたの機械式時計専門店で、最近の時計の話を聞いたりしながら、ついつい勾当台公園駅まで歩いてしまったりするんだな、たまに街に出てしまうとさ。アーケード街にはたくさん人がいたけれど、屋根のない通りにはほとんど人はいなくて、雨がドサドサ音をたてて降っていた。そしてこのくらい歩くとどんなに優秀なカッパを着ていても、ううむ、だいぶ濡れるんだよね。で、家に帰ってから熱いシャワーを浴びた。
 いろいろなところが、ビショビショになったとしても、しかし、雨の日にお散歩するのは、気持ちよく晴れた日にするのと同じくらい、刺激的で充実した時間がすぎて、僕は、好きだ。