平成10年1月31日

 このコラムを書き始めて、あっという間に9年半たってしまった。始まったばかりの頃、僕の2人の娘たちはまだ小学校の低学年で、当然、僕も新米のお父さんだった。9年たって、7歳の人は16歳に、11歳の人は20歳になった。2人ともほとんど大人の女の人で、1人でなんとかやってみる方法について、いろいろ心をくだいているように見える。そして、お父さんとしての僕は相変わらず新米のままだ。なにしろ、彼らは今でも小学生だった頃と同じように、毎日初めて出会うことっていうのがおこっているわけで、日々なにやかや、彼らにとっては新しくて真剣な質問や相談をしてくるわけですからね。
 もちろん、真剣な質問といったって、そんなことは、もう僕なんかとっくの昔に体験しちゃってますよ、というようなことが多いのだけれど、しかし、今この歳になって考えてみると、あのときはあれはああだったが、これはこうした方がよかったかもしれないな、というようなことが見えてきたりする。では、なぜ、あの時の私はあのようなことをしてしまったのか。ううむ、若いってけっこうはずかしい。おっと、そういうふうに見れば、僕だっていまだに毎日初めてのことがおこっていたりするわけだな。なにしろ、47歳になるのは僕にとっては初めての体験なんだからね。
 ううむ、若いってけっこうはずかしいということがわかってくると、いまだに僕は若気の至りをし続けているのではないかと、ふと足元を見つめることができるようになる。そして、相変わらずの若気の多さに、そっと赤くなりながら、今年も、僕は楽しく新米のお父さんをやっていくのだろうと思う。子どもと一緒にやるということは、こういうことなのだろうな。