平成9年11月22日

 美術館に、「親子工作教室のようなことがやれませんか?」というような問い合わせが、公民館や児童館からくることがある。内容はけっこうおおざっぱで、2歳以上6歳までの人たちとその親が一緒に、工作なりなんなりを2時間ぐらいのうちにする、と、そのような相談であることが多い。僕は、こういうの苦手なんだよな。活動を組み立てるのもだけれど、参加するのも、もっと苦手だ。真剣に考えてみればすぐわかるけれど、2歳の人と、6歳の人というのは、極端にいえば、12歳と46歳ぐらいの違いがある。 もちろん、2歳と6歳の人たちは、一緒に遊ぶことができる。ただし、大人がほっておけば。そしてそれは、大人がイメージできる遊びとは、だいぶ違う形で始まり、その形も、どんどん動いていくことが多い。はたから見ていると、けんかのようだったり、ごみを拾って排水溝に落とすだったり、水たまりをびしゃびしゃ歩くだったり、なんだか変なこと。見ていると、彼らは結構お互いに抵抗しつつ、しかししばらくするとうまくなじみながら飽きるまで同じことをする。
 さて、ここに大人はどのように混ざってゆけるか。または、混ざってゆく余地のようなものがあるのか。ね、真剣に考えると、けっこう難しいのよね、これが。
 ほとんどの大人は、子ども一人一人が真剣に生きていることへの認識が、驚くほど雑であるように僕には思える。ある状況で、子どもたちが何を、なぜ、どのように対処して行動しているか。親という職業も含めて、子どもたちのために何か活動を組み立てようと考えている人たちが、まず最初にすべきは、その子どもたちをよく観察して見ることだと思う。
 さて、それからですよ、彼らと何をして遊ぶか考えるのは。