子どもたちが美術館でする活動は、内容はさまざまでも、それにかかる時間はだいたい同じ長さであることが多い。午前10時頃から始まって、正午ぐらいまでの2時間前後。大人は、なんとなしに、その辺で活動をやめてしまったり、次に移っていってしまったりしてしまう。子どもか大人かを問わず、おもしろいことだったら、ずうっとやっていたいのだよね、本当は。

この前来た幼稚園は、時間に十分な余裕を持ってやってきた。少し早めに昼ご飯を食べて、いつもの粘土と遊ぶ活動をして、普通なら、これでハイおしまいというところから、もう1時間活動を続けられることになった。彼らはどうしたと思う?全部で3クラスの子どもたちが、別々の日に来たのだけど、彼らは決して退屈なんかしないで、全員が全員とも戦い始めたのでした。戦いといっても、主に粘土のぶつけ合いを中心とした、順位付け。「生き物地球紀行」などのテレビ番組で見知っている、チンパンジーや、ライオンの子どもたちがやっているじゃれ合いとまったく同じような、誰がこの中で一番強いかを競うもの。ちゃんと泣く人や、対抗する人、その人にへつらう人とかいて、複雑に真剣に、しかし本当は、どのくらい力を入れたらいいのかわからないので、へっぴり腰で。見ている僕はずうっとあきなかった。
真剣に、でも嘘っこで、気心の知れた仲間と、いろいろ工夫しながらけんかみたいなじゃれあいをするのって、やっぱりおもしろいよなぁ。地球の上に生きる動物の一種として、僕たちも、こういうふうにして、何かまとまって、社会なんていうものを組み立てていくわけなのだなぁ。思う存分やりきってしまう時間の中にこそ、地球人としての僕たち人間の、大切な何かがありそうな気がするなぁ。