平成9年8月30日

 それがウィークデーであることが多いとはいえ、休みの日に僕が出かける所にはほとんど人がいない。たおえば、午前中早くから森に出かけ、あっちこっちほとんど走るように歩き回り、お昼になって、お茶を沸かしおにぎりを食べ、午後、午前中見て気に入った所を再びゆっくり一周し、もとの駐車場まで戻ってくるあいだ、誰にも会わずに過ぎてしまうというようなことがおこる。そして、これは、街のすぐそば、仙台駅から車で10分ほどという森の話なので、すごいのだな。ううむ、仙台ってものすごい田舎だったのかな。 僕たちの国では、知られたとたんにどっと人が押しかけ、あっという間にごみの山、ということが本当におこるので、場所を教えるのは慎重にしたいが、今回は言ってしまおう。そこは、三居沢から青葉台を通り、太白山にかけての青葉山市有林(一部、国有林)なのである。時々新聞で論争が起こっている、あの青葉山市有林なのである。論争はあるけれど、普通の日、少なくとも僕が行った何日かは、本当に誰もいないのである。僕の知らない週末、あの辺はけっこう人が出ていたりしているのだろうか。
 歩き回るのに気持ちのいい山や森は、車で何時間もかかる遠くにしかないのだという考えは、どこかの大都会に住む人たちにまかせておこう。僕たちは、子どもを連れて、街のすぐ裏から始まる林を通り抜け、ビルの間から見えるあの丘の頂上まで、丁寧に、しかしさまざまな、その人にあった方法で、周りを楽しむお散歩に出掛けよう。
 この街に住むということは、実はこういうことだったのかと気付くあたりから、そこにすでにいるさまざまな生き物たちと一緒に生き続けることを考え始めたいなと、僕は考えている。