
子どもたちが大人と一緒に美術館にやってくる。子どもたちにとって、美術は、大人が見ている目線とはだいぶ違った視点でとらえられているように、僕には思える。彼らは、身体と、知っていることばを総動員して、そのことを大人に伝えようとするのだけれど、ほとんどの大人は、それを見ようとしたり、せめて言っていることに耳を傾けようとしていないように、僕には見える。子どもたちを詳しく見ていると、たとえそれが、まるでたわいのない、そしてなんだかわけのわからない行動のようでも、彼らがやっている動きにはたいてい深い理由があって、ごく真剣に一生懸命やっていることがわかる。たいていは、とても「あら、かわいい。」とニコニコ笑っていってられないほどに、彼らは真剣であることが多い。彼らは本当はどこに行って何をしたいのだろうか。彼らの行動の中に、その答えはある。彼らの行動の中に見つけられる物から始まる活動を、僕たち大人は始めたい。