
子どものころに、学校で習った、さまざまな知識を、大人になってから、ふと真剣に思い出して点検してみると、そこには、とてもたくさんの不思議があることに気づく。その中には、どうしてこれまで不思議に思わずにこれたのだろうかと心配になるほど、重大な問題もあったりする。多分、学校で学ぶ知識というものは、僕にとってはそういうものだったのかもしれないな、と、今になって僕は考える。
窓の外の広い夕暮れの空に向かって立つ、金色に光るポプラの木をめぐって、まず一番に僕たちがしなければいけないことは、「ひゃー、あなたは今なんときれいなんだろう。」とびっくりすることではなかろうか。たぶん驚くべき広さと深さで土の中に張りめぐらされて、一生懸命小さな水のかけらを探している大小の根っこを思いながら、4月から始まる新学期に向けて、お父さんの僕は考えている。