平成8年1月27日

 去年、夏から秋にかけて両親といろいろ遊びまわった。退職した親と、欲得なく遊び回るのは、ちょっと話がしつこいことをのぞけば、けっこう面白い。その流れの中で「年末に、車で光のページェントを見に行こうぜ。」という約束を彼らとした。あの催し自体に、僕は反対だ。が、屋根を開けた僕のガタピシ車に乗って、あの光の中を通り抜ける体験は、卑怯者と言われようが何だろうが、ものすごい体験なので、彼らに見せたかったのね。しかし、今回、僕はその約束を実行しなかった。想像を絶する渋滞と混乱。何かが、やっぱりおかしいよな、とか思っているうちに新しい年になって、催しは終わってしまった。
 それを見ていた僕の娘たちが「実行できない約束はしない方が良いんじゃないの、お父さん。」とか、言うんだよなぁ、これが。こういうことを子どもが言い始めたということは、僕の方も、頑固じいさんと化し始める時期になってきたということでもあるので「この野郎めぇ、なまいきな事言うんじゃねぇ!。」なんて、ムラッとしてしまったりするわけね、まったく、、、。 
 でもね、僕はこれからもできるできないに関わらず、両親に約束をし続けるつもりだ。その約束が実行できるかどうかよりも、その約束が、両親に与える(だろうと、僕が期待する)ニコニコな心と、僕に与える心理的な(しかしニコニコではある)プレッシャーの方こそが、僕ら親子が面白がっているものなのだと言うことを、僕は知っている。少し言い訳みたいだけど。
 たぶん、こういうことを言わせるために、若い人は、大人に対して、なまいきを言い続けなければいけないのだ。そして、こういうことが言えると、大人になってきたということになるのかな。ちがうな、たぶん、、、。