
で、やっぱりこれはもう寿命かと、僕は新しい屋根を注文しました。その時に、今のは、開けるときにいっぺん車外に出て留め金をはずし、手でクルクルと丸めてフックに止めるという方法だったのですが、新しいのは車の中からパタンと開けたり閉めたりできる機構のやつをたのみました。ま、せっかくなんだし。
その事を家の人たちに発表したら、なんと、みんな少し悲しそうなのね。簡単簡便というのは、我が家らしくないと、こう言うわけです。さ、屋根を開けるぞ!といっぺん止まって、しみじみ、わくわく、クルクル巻き取ると、パカンと青空が広がる、そういう方がうちらしいのではないかと、そう言うわけです。僕は、とてもうれしかった。
急いで簡単に、効率良くどこかへ行くためだけにではなく乗る車が、僕の家にはある。一見面倒臭いことの中に、楽しくわくわくすることがたくさん隠れている。何が面倒なのか点検してみると、僕らの求めてきた豊かな生活って、けっこう的外れだったんじゃないのかなぁと思えてくる。