平成6年4月23日

 ずうっと前に、子どもたちとバスに乗っていて、彼らが「おしっこしたくなった。」という場合、どのように対処するかというお話を、どこかに書いたことがあります。僕んちは降りちゃうんですね、そこがたとえ田んぼの真中の停留所だったとしても。 子どもたちと一緒に活動をすると、こういうふうに突然予定がまったく違う線路にきり変わるポイントが、思いもかけないところにけっこう沢山あるので、楽しいんですよね。小説なんかではこういうところから冒険が始まるわけですが、もちろん、現実にはそうではないことがすごく多くて、次のバスなんかないわけね、すぐには。ま、あわてないで、その状況を楽しんでしまいましょう。目的を効率良く達成するより、そこにいたる経過を充実させようぜ、ということをその時は書いたのでした。
 で、そういうふうにして僕の子どもたちは大きくなってきました。彼らにとって物事はそういうふうに進むものなのです。そして今、彼らは高校生と中学生になりました。
 最近、そういう彼らと話をしていて、僕の考え方はもともとそういう、のんびりしたもんではなかったんだということがわかってきました。僕は、そういう状況をストレスとして受け取らないように、けっこう意識的に、そうしていたんですね、自分でも面白がってはいたけれど。それは、僕の両親のことを考えればよくわかります。彼らは、大変一生懸命僕を育ててくれたけど、あんまりのんびりっていう思い出はないもんなぁ。
 意識的にやっていた人から、最初からそうできる人ができてきて、なるほど、ここでのものの見方のくいちがいが、ジェネレーションギャップというものなのだな。ううむ、なかなか鋭く、文化というものは、伝達されて行くのであるなぁ。