平成6年3月26日

 事情があって、ここのところ毎日自動車で通勤している。本当ならこの時期、僕は自転車かモーターサイクルで通いたいのだ。この季節の空気のなかを、自転車やモーターサイクルを駆って走り抜けるときの、あの高揚する気持ちを知っている人は、多分、みんなそうしたいと思っているにちがいない。そうすれば、通勤があっというまに、趣味の時間に変わるわけですからね。でも、大人になると「事情」というものがあるからね、しょうがないんだなぁ、これが。様々な「事情」のために、そう簡単には出来ないことがあるのよと、つい言いながら、毎日は過ぎていってしまうのだ。 しかしさ、そうやってシコシコやっている毎日のなかから、ふと頭をもたげて遠くを見ると、ううむ、最近やたら「事情」が多くなってきているようじゃないですか。事情だらけで、そっちが優先されちゃってることが多くなっている。気持ちの良いこと、あんまりやってないなぁ、と言うことに気付くわけですよ。これはいったいどうしたことだろう。むむむ、理由はわかっているんだ、本当はね。
 なんとかやっつけなければいけない「事情」が、「しょうがないもの」になってくると、たいてい体重が3キログラムくらい増えてくる。心の調子は身体にすぐ現れる。去年の春、鎖骨を折ってから、僕は、準備体操だけで、十分に汗をかくような内容の運動をしていない。肩に入っていた金属プレートは、お正月のすぐあとに取ってもらったし、モーターサイクルのオイルも、この間交換した。さて、あとは、始めるだけ。
 毎日起こる「しょうがない事情」を、積極的に肯定しないと、それを自分のコントロールのもとに置くのは難しい。セルフ・コントロールが難しいのは、多分ここのところなのだろうな。