平成5年10月30日

 9月に2週間ほどイギリスにいました。しばらくぶりの外国でしたから、とても面白かった。
 ロンドンで、僕は、小さいけれど、古くてしっかりしたホテルに滞在していました。毎朝、1階にあるダイニングで朝食をとります。受付で朝刊をもらって、入り口を入ると、フロア・マネージャーが「グッド、モーニング、サー。」と言いながら来ます。で、「お一人ですか。」とか「お席は窓側でしたね。」とか、「今日も良い天気ですよ。」とか話をしながら、テーブルに案内してくれます。その人が下がると、しばらく誰も来ません。不思議な、静かな朝の時間が過ぎます。ここで、おもむろに新聞を開いて、読めるところを探したりしていると、ボーイが「おはようございます。紅茶にしますか、コーヒーにしますか。コンチネンタルにしますか、イングリッシュにしますか。」と注文を取りに来ます。もちろん紅茶をたのんで、イングリッシュ・ブレックファストをお願いします。すると、彼は「では、あちらでお取り下さい。」と、キッチンの方を指し示すわけです。なんのことはない、いわゆるバイキングなのですよ、ここも。そこで、僕は、新聞をたたんで立ち上がり、キッチンの前へ朝食をとりにゆき、持ってきます。取ってくる間に、お茶とトーストが、テーブルに届いています。ここまで約20分。ね、なんだかゆっくりしていていい感じでしょう?
 英語のコンフォタブルという言葉は、こういう快適さのことことだったのね。人間どうしが、きちんと会話を交わしつつ、時間の流れも味わいながら朝食を食べる。日本人って、こういうサービス、すごく上手だったはずなのに、最近あんまり見かけなくなったのは、僕が、ビジネスホテルばっかり使っているからだけなんだろうかなあ。