平成5年6月26日

 休みの日、ちょっと中途半端に時間があいたとき、僕は、よく「太白山自然観察の森」に出かける。台原の森林公園も悪くはないけれど、あそこよりもう少しきちんと山奥の感じがするのと、なにしろ僕の今の家から近いので、スニーカーを履いて、お茶をつめた魔法瓶や、薄手のウインドブレーカーをウエストバッグにつめこんで、ブラブラ出かけてしまう。どんな天気のときでも、それに合わせたかっこうと慌てない気持ちさえあれば、なにしろ街からすぐのところなわけで、まあ、たいてい、気持ちのよいお散歩というのがこういうものであったのかということが実感できることになる。あんまり「自然観察しなくちゃ。」とか思わない方がいいよね、こういうときはさ。 時間がもう少しあって、身体も快調のときは、もう一つ先の太白山まで足を延ばして、てっぺんから海を見るっていうのも、僕はよくやるけれど、でも森の中の道を、ただぶらぶらとあっちこっち歩きまわってみて、小鳥を観察する建物のはじっこの階段に腰を下ろし、熱いお茶を飲む方が、断然良いな、本当はね。できるだけゆっくり、かつ静かにお茶を飲んでいると、すぐ目の前の枝にシジュウカラがとまって、こ首をかしげてこっちを見ている、なんて事がおこったりするので良いんだな、これが。
 時間がポッとできたときに出かけていって、数時間、ぼんやりしてくることができるところが、僕には、ここ以外にも、何カ所かある。何かするためにそこに行くのではなく、なにもしないために行く場所っていうのを、みんなも家の近くに探してみると良いと思うな。
 で、本当は、やたら忙しくてストレス溜まるぜって時に、そこの風をちょっと思い出してみるってのが、もっと楽しいんだけどね。