この時期、美術館には、たくさんの団体の方々がやってきます。子どもたちも、幼稚園や保育所などの集団で来てくれて、そういう人たちとつきあう係である僕は、このところ毎日午前中は半ズボンをはいて、美術館のおんちゃん(おじさん)をやってるわけですね。

というような話をすると、彼らに付いてくる先生も含めて、「毎日大変ですね」という大人が多いのだけれど、どうしてかなぁ。僕はあんまり大変ではない。講習会や研修会で、団体の大人の人たちとつきあうよりは、ちょっと興奮ぎみにうるさくて、元気いっぱいだったとしても、子どもたちとある時間を過ごす方が、終わった後、はるかに元気になれるわけで、それはなぜかというあたりを詳しく考えて行くと、なにか人生についての重大な問題が浮き上がってくるような気もする。けれど、それは、大人の権威のために、ここでは追及しないでおこう。それにだいたい、きちんと普通の会話をしているかぎり、子どもは、そんなにいつも興奮してうるさいものなんかでは決してないわけよね、あたりまえだけれど。だから単なるあいさつだとしても「子どもと毎日では大変ですね」というのは、子どもにすごく失礼じゃないのかなぁ。
10歳前後の少年少女とする活動は、僕がそのころ興奮して吸収した知識や経験が、未だに同じように彼らを興奮させることがわかって気持ち良くおもしろい。3、4歳以下の人たちとする活動は、彼らがしたいことを一緒に探して行くだけで、人間がなにに興味を持つ物だったかを思い出させてくれるので、僕は好きだ。
かわいくない子どもはいないというのが僕のまったく楽天的な子ども観で、かわいくなくなってしまった大人ってのがいるんで、かわいくない子どもの問題が起こるんではないのかなぁ。