
僕がその時、にこにこと感動しつつ、ゆるゆると廻る頭の中で考えていたことは、僕が彼と同じ60歳になったとき、こんな風に自由なおじいちゃんになってられるだろうか、ということでした。
思えば、美術館にある、現代美術と呼ばれる何だかごちゃごちゃわかんない絵も、実は、結構年をくった人たち(63歳とか、57歳とか)が、すごく真剣に描いていたりするわけで、本質的に抽象的な仕事って、やっぱり相当歳とんないとやったりわかったりできないものなのかも知れないなぁ。早く立派なおじいさんになんなくっちゃ。きちんと歳相応のインプレッション(印象)とエクスプレッション(表現)を見せてくれるおじいさんやおばあさんを見ると、僕は、歳を取ることが楽しくてしょうがなくなる。ああいう、おじいさんになりたいなぁ。
ところで、僕たちを見ている子どもたちは、同じように早く大人になりたいよって思ってくれているのだろうか。ヒャ−ッ、これって、けっこう大変だ。