
もちろん彼は、「アブ、アブ、アブ」ということを話したいのではない。なにかちゃんとした話をしたいのだよ、多分。ちゃんとしたって、ちゃんと意識を伝えあうと言う意味で、ちゃんとした。
彼らが、「アブ、アブ、アブ」と、何を伝えたがっているのか考えながら、ごく普通に、彼らに答えてゆく。わからないところは、彼らに聞けば良い。
小さい頃のお父さんの絵は、大きい丸の中に、小さい三つの丸しか無いでしょう?あのころ、僕達の関心の中心は、お父さんの、目と口だけだったんだということが、そこから逆にわかってくる。
だから、僕はきちんとお話したい。まだ、あまりうまく回らない舌で彼らがお話していることに耳を澄まし、それに、普通にお答えする。
こんな感じに、割と、彼らの話しかけに、失礼なお答えをしているみたいなことって、案外多いんじゃないのかなぁ、どうだろうか。