平成3年2月23日

 最近、お姉さんは、だいぶん難しいお話をするようになってきたので、お父さんは、お姉さんに時間を割くことが多い。昨日も、県庁所在地についての、人文学的な考察について、しばらく話してしまった。すると、妹が、僕の体によじ登りにやってくるのだね。座っている僕の体の、骨のでっぱりを手がかりに、フリークライミングの要領で、背中の方から、肩の上までなんとかよじ登り、そのまま、頭の上を通りこして頭から逆さまに胸の方へおりて来る。何回か失敗したあとで、そのまま、ちゃっかり、僕のあぐらの中に収まるという寸法だ。彼女は、小学生の中学年なのである。もうすでに、相当重いのである。で、僕はお姉さんと話の続きをしながら(お姉さんは、何回か、やめなさいと言ってくれたのだけれど)、彼女をだっこしてやっていたのでした。
 「子どもと遊ぶ」というのは、「子どもを遊ばせる」というのとは少し違うと思うのね。「子どもと遊ぶ」というのは、「子どもといる」と言うことだと思うのね。
 良く見ていると、ベテランのお母さん(だから、おばあちゃんであったりする)ほど、子どもといるときに、何もしないと思わない?彼らと一緒に、絵を書いたり、折紙したり、ファミコンしたりなんかしないで(できないのかも知れないけど)、でも、彼らがしていることを見ている。時々、ニコニコしながら見ていて、彼らがちらっと、そっちをみたときに、ニコッと小さく手ふったりしている。
 ううむ、これだよなと、僕は、その時思いましたよ。
 彼らと一緒にいて、彼らと一緒に見て、それを肯定する。と言うことが、彼らと遊ぶということなんじゃないのかなぁ。だから、僕は、今ちょっと忙しいので、彼女を抱いて、一緒に遊んでいるんですってば。