平成元年 11月18日

 天気が良いので、今日の朝ごはんは、外で食べることになりました。もちろん僕の家は団地の一室なので庭はありませんから、トーストをラップに包み、コーヒーはポットに詰めて、牛乳やジュースはパックのまま、ついでにリンゴとバナナも、大きい買い物カゴに放り込み、敷物に使っている赤いテーブルクロスを持って、すぐ裏にある児童館の芝生の庭に大移動開始です。こういうときにいつも使う場所が僕んちにはあるのですが、秋も深まってきたこの季節、そこにはまだお日様が届いていなくて、今日は少し南の方の斜面で朝食ということになりました。僕は新聞を持っていって、食べたあと寝っころがって読んだりします。子どもたちは、望遠鏡で鳥をさがしたりします。そうして、一日が始ります。こういう日は、このままお散歩にでかけるのが良いですね。もちろんこれもちょっと足を伸ばして、広瀬川まで行って見ようかっていうぐらいのもので、そこに行って何かするための移動ではなくて、そこに行くまでを楽しむ、移動する事自体を楽しむのが目的のグウタラ散歩が望ましい形態という事になるでしょうね。とにかくぶらぶらとゆっくり行くわけです。
 遠くまで出かけることはもちろん楽しいけれど、子どもの頃からそこに住んでいたという人以外は、自分ちの周りというのも、まだまだ知らない所がいっぱいだったりするわけで、子どもが普段遊び回っている範囲を、彼らと一緒にじっくり探検してみると、おやこんな所があったのかと、ちょっとびっくりしたりします。その上で、少し、範囲を広げてみる、と言うあたりが面白いんですよね。地球全体につながっている「ここ」という概念について、僕達はもう一度足元を確かめてみたいものだと思います。