平成元年 7月22日

 夏休みのことを、この時期ですから、考えてみましょうか。
 何はともあれ、すっごくうらやましい。1ヶ月も休めるなんて、いいよねぇ。長い休みに何をして過ごすかということを、自分のこととして考えてみると、僕がいかにナマダラ(怠け者で、グウタラだというような意味の仙台弁)かということが暴露されてくる。ううむ、休みのときの大人は、ナマダラになってしまうんだな。ま、とにかくのんびりとやるということだ。何しろ1ヶ月でしょう?
 でも実際は、長い休みにはいったとたん、朝6時半からのラジオ体操なんかが始ったりするのだけれど、せっかくの休みなんだから、ゆっくり寝ててもいいんだぜというのが、お父さんの本当のところだなぁ。
 また、「1日美術館に行って、夏休みの宿題になるような物、何かできますか?」と、聞いてくるお母さんがいたりするけれど、いったいそんなに急いで作ってしまった後の29日間、あなたの子どもは何をしてるんだろうか?と、僕はちょっと心配になったりしてしまう。まさか、ずぅっと勉強してんじゃないだろうなぁ。
 子どもはいつも退屈で、何か面白いことないかと必死に探しているように見える。ようし、なかなか良い態度じゃないの、慌てないでじっくり探したらいいよ、時間はあなたのペースで動いているんだから。と言ってやるのが、僕たち大人が彼らのためにやれる仕事なのだと、僕は考えている。
 休みの時は、休みの時間が、流れて行く。
 自分自身のために時間が使えるとき、どれだけ独自のバリエーションを自分がもっているかについてまじめに考えておかないと、これから大人になる人たちは、絶対に困るんじゃないのかなぁ。ほんとは、ひとごとじゃぁないんだけどね。