平成10年9月26日


 美術館での僕の仕事は、やってくる子どもたちと美術的な活動をする項目も含まれていて、そのためいつのまにか僕は、子どもと遊ぶ専門家らしいということになっていたりする。ううむ、しかし、僕はただのお父さんにして、ただの美術家なわけで、子どもとの遊び方なんか、本当は良く知らないのだよなあ。だから、何か子どもたちと活動をやってもらえませんかというリクエストが来ると、本当に困る。で、そういう時、僕は、突然穴を掘り始めたりするのだな。なにやらさまざまヘンだった今年の夏、僕は2回、子どもたちと一緒に穴掘りをした。


h10.9.26.gif初めに掘ったのは、ある山の中の原っぱで、1年生から6年生までの子どもたち大勢と一緒だった。そこは、一見ただの原っぱだったのだけれど、掘ってみたら大きな岩がザクザク出てきて、何とも大変な重労働になったうえ、実は駐車場だったので、最後は全部埋め戻すことになったりして、いやはや、すごく充実して、疲れて、面白かった。
 2回目は、ある児童館の庭に、1歳から3歳の人たちと一緒に穴を掘った。天気が良かったので、僕は、みんなを無視してバンバン掘り進み、最初にちょっとした溝を作ってしまったのね。少し形が見え始めると、子どもたちは、かってに様々動き始めて、よく見ていれば、相当小さい人たちでも、自主的に始めればちゃんと働けるのだということがわかってくる。最後には、もちろん溝に水を流して、川や池にしてしまうわけで、いやはや何とも、真剣に、ビチャビチャに楽しかった。
 遊び方は、たいていそれをやる子ども自身の方が良く知っている。そこに関わる大人の仕事は、だからそれを「うむ、その通りだ」と肯定してあげることなのではないか。そういうのなら、僕得意なんだけどなあ。