
娘が生まれて来て、へその緒でおかみさんとつながったまま彼女に抱かれて、初めての空気を泣きながらすっているときに、僕は、もうほとんど失神しそうだったので、ま、あまりたいしたことは言えないわけですが、やっぱし、子どもが生まれてくるときに、お父さんも一緒にいた方が良いと、僕は考えています。
子どもがおかみさんとへその緒でつながって、かつ別々に動いているのを初めて見ると、まず、相当動揺しますが、今思えば、僕達が、地球という小さな星のうえに生かされている動物の一種なのだということが、突然に全部理解できて、何とも真剣に人間について考えてしまう。人間が人間に何かを伝えてゆくことについて、本当に真剣に考えてしまう。ついでに、この人たちがこれから生きて行く末を思って、我々の星の、ごく危うい様々なバランスのことなども考えてしまうということで、ただ見ているだけだったお父さんは、突然「生んだ」という実感を感じながら、立ちつくしていたのでした。